日本の助成財団の現状 -概況

概況

-2016年度調査結果(2017年6月更新)-

1-1.助成型財団の定義

2008年12月1日に施行された新しい公益法人制度による特例民法法人(施行前の民法による設立の財団法人、社団法人)の移行申請期間は2013年11月30日をもって終了した。翌年4月1日で移行登記は、ほぼ98%が終了している。
 内閣府による「平成28年3月末 全国の申請状況」によると、2016年3月31日現在、特例民法法人から公益法人への移行が答申されたものが8,995、一般法人に移行する答申が11,667ある。この他に2008年12月1日以降に新設された一般法人から公益法人への移行の答申が464ある。同日現在で移行認定申請9,027、移行認可申請11,693とある。
 これらのうち、当センターが把握している助成型財団(後述の対象A)は1,986あり、その中で特例民法法人から公益法人へ移行したものが、1,429(財団1,339、社団90)、一般法人へ移行したものが379(財団333、社団46)、新制度施行以降に設立され法人は89あり、そのうち公益法人へ移行したものが66ある(2016年11月の調査時点)。残り89は社会福祉法人等である。
 なお、調査対象は、上記1,986団体を含む3,607団体である。今回、制度改革を機に内閣府により新制度に移行した公益法人のデータベースが新たに構築された(総数:約20,000、2014年9月現在)。このデータベースより助成関連のキーワードで候補団体を抽出し、団体のWEBサイト等での確認作業を行った結果、確実に助成を行っていると判断できているものが約990団体ほどあった。さらにインターネットの検索サイトやその他の情報源より新たに抽出等を行った105団体とを合わせた3,607団体にアンケート調査表を送り、1,779団体から有効回答を得た。
 
 本統計では、従来通り以下の事業を行う団体を「助成財団」と定義し、特例、一般、公益の区別はせず対象とした。
(1)個人や団体が行う研究や事業に対する資金の提供
(2)学生、留学生等に対する奨学金の支給
(3)個人や団体の優れた業績の表彰と、賞金等の贈呈

 また、「社団法人」や「社会福祉法人」等、制度上は財団法人以外の公益法人であっても活動内容が同等なものは「助成型財団」に含めている。一方、特定非営利活動法人、独立行政法人(旧特殊法人)、公益信託、企業(内部基金含む)等は分析対象から除いている。
※当初からの定義では「型」の字を含むが、以下本稿では助成財団と表記する。
 

図1 助成財団の位置づけ

図1 助成財団の位置づけ

1-2.調査分析の対象

本書で分析対象とする助成財団の母集団は、2016年度の調査結果と、過去に行ってきた調査結果の累積から、次の2通りとした。
[対象A]1987年から2016年まで28回の調査結果の
     累積に基づく母集団
 1987年以来行ってきた調査に回答した財団のうち、財団の概要およびプログラム内容についての記載があり、かつ現在も助成活動を継続しているものを[対象A]とする。
対象A:1,986(前回1,897※)財団
※ 2015年度調査の数値(以下、同じ)
 設立年など、年度毎にあまり変化しないデータに関する分析は、[対象A]を母集団とした。

[対象B]2016年の調査結果に基づく母集団
[対象A]のうち、2016年7月の調査に回答し、最新のデータ(2015年度決算)を提供したもののうち、正味財産(資産総額)の記載があり、かつ年間助成総額が500万円以上のものを[対象B]とする。
対象B:954(前回938)財団
資産規模や事業規模など毎年変化するデータに関する統計的分析は、[対象B]を母集団とした。

1-3.今回の調査結果の要約

(1)助成財団設立数と資産、事業費の傾向

1990年をピークに91年以降、助成財団の年間設立数は顕著に減少している。
(図2)

(2)資産規模

[対象B]は、2015年度決算(2016年3月末)時点では、公益財団法人792、一般財団法人117、公益社団法人25、一般社団法人8、社会福祉法人12が含まれている。
 なお、2006年度から公益法人会計に新会計基準(財産の時価評価額表示等)が導入された。このため現状の公益法人会計の決算では新会計基準と旧会計基準が混在しているので、資産合計や資産の順位等は同一基準での計算ができない。因みに対象Bの954財団のうち、新会計基準を採用しているのは949財団で、約99%が新会計基準である。
(表1,2,3)

(3)助成事業規模

954財団の助成事業費の合計は約1,006億円。年間助成額が5,000万円未満の財団が全体の73%を占め、5億円以上の財団は2%である。年間助成額の上位20財団の日米比較では、約37倍の開きがある。(表2及び表6参照)
(表4,5,6)

(4)助成事業の内容

助成の事業形態別に見ると、研究助成が抜きん出て多く、研究支援関連の助成と、文化、福祉、市民活動等の事業プロジェクトへの助成および育英奨学のプログラム数を比較すると、2011年度までは長らく5:2:3という比率であったが、2012年度以降はほぼ2:1:1となっている。注目すべきは僅かずつではあるが、時代のニーズを反映して事業プロジェクトへの助成が増えてきていることである。(図7)
 助成事業の分野別に見ると、「科学・技術」「医療・保健」などの自然科学系の分野が多い。この10年間、事業分野別のプログラム数の比率はほとんど変わっていない。(図8)
 年間助成の合計額は、バブル崩壊後の低金利政策等の影響もあり、1993年度より減少傾向が続いている。