日本の助成財団の現状 -資産・事業規模

資産・事業規模([対象B](932財団)について)

-2017年度調査結果(2018年3月更新)-

以下では、助成財団センターによる2017年度調査で有効回答のあった[対象B](932財団、以下同じ)について分析を行う。

3-1.資産(正味財産)規模

ここでいう資産総額とは財務諸表上の正味財産のことである。

資産は主に債券や株式で運用されており、その評価額は2005年度までは財務諸表には簿価で記載されていたが、06年度から公益法人会計基準が改定され、時価評価額に移行することになった。全ての財団が一斉に移行するわけではないが、16年度では[対象B]の932財団のうち、新会計基準を採用しているのは927財団で、約99%である。しかしわずかではあるが、新旧双方の基準が混在する状態であり、資産合計や資産の順位等は同一基準での計算・比較ができない。以下の分析は混在したまま行ったものである。

[対象B]932財団の16年度末(数件の例外を除いて17年3月31日現在)の資産合計は約4兆8,942億円であった。資産規模別に財団の分布を示したのが表1/図3である。ここでは、資産規模を6階層に分け、各階層は「以上~未満」で区分した。資産規模10億円未満の財団が932件中416件で45%を占めている。資産規模100億円以上の財団は107件で11%に過ぎないが、資産の合計で見ると全資産の70%を占めている。

全てが旧会計基準であった05年度は、資産規模10億円未満が49%でほぼ同じ割合であるが、100億円以上は21財団3%であり現在の1/4弱、合計金額では33%と半分の割合であった。このことから、新会計基準による少数の大型財団と大多数を占める中小規模財団との二極構造がよりはっきりと示されるようになったと言える。

日本の財団の資産総額上位20財団の状況は表2で(1)民間資金を基に設立された団体、(2)行政が設立の主体となっている団体の2つに分けて示した(試みに15年度の各財団のランキングも併せて表示した)。日米の上位20財団では、表5のアメリカの資産総額上位20団体と表2の①の民間資金を基に設立された団体上位20とを比較すると、合計金額では約11倍の開きがある。

表1/図3資産規模別財団数および資産合計(6階層別)b_zu3表2 日本の上位20財団 資産総額

(1)民間資金を基に設立された団体table2-1

※行政が設立の主体となっていると思われる団体を除き、主として民間資金を基に設立された団体で作成した。

(2)行政が設立の主体となっている団体table2-2

表3 アメリカの上位20財団 資産総額table3

※ 資料:Foundation Center Home Pageより
*1ドル=112.19円で換算(2017年3月末現在)

3-2.助成事業規模

各財団の事業のうち、助成・奨学・表彰等のいわゆる助成事業に支出した金額が年間助成額であるが、[対象B]932財団の16年度の年間助成額合計は約1,092億円であった。年間助成規模別に財団の分布を示したのが表4/図4である。

助成規模を6階層に分け、各階層は「以上~未満」で区分すると、年間助成額が5,000万円未満の財団の数が668団体、72%で全体の約4分の3を占めている。一方助成額5億円以上の財団は数の上では24団体で3%にすぎないが、助成金の合計は約653億円で全体の60%を占めている。こうして見ると、日本の助成財団の約半数が助成金額においては年間2,500万円以下の財団となっていることがわかる。

日本の財団の年間助成額上位20財団の状況は表5で(1)民間資金を基に設立された団体、(2)行政が設立の主体となっている団体の2つに分けて示した(試みに15年度の各財団のランキングも併せて表示した)。日米の上位20財団では、表6のアメリカの年間助成額上位20団体と表5の①の民間資金を基に設立された団体上位20とを比較すると、合計金額では約30倍の開きがある。

表4/図4 年間助成等事業規模別財団数および助成額(6階層別)

b_zu4

表5 日本の上位20財団 年間助成額

(1)民間資金を基に設立された団体table4-1

※行政が設立の主体となっていると思われる団体を除き、主として民間資金を基に設立された団体で作成した。

(2)行政が設立の主体となっている団体table4-2

表6 アメリカの上位20財団 年間助成額table5

※ 資料:Foundation Center Home Pageより
*1ドル=112.19円で換算(2017年3月末現在)

3-3.経年変化

年間助成額が500万円以上の助成事業を継続している財団で、過去29年間の連続したデータのある81の財団については、経年変化をトレースすることができる。しかし、前述の通り2006年度からは新会計基準と旧会計基準が混在しているため、総資産については06年度7,774億円、07年度6,913億円、08年度6,246億円、09年度6,758億円、10年度6,623億円、11年度6,597億円、12年度7,588億円、13年度8,262億円、14年度9,834億円、15年度10,126億円、16年度10,639億円と時価ベース会計の影響で大きく変動することになり、05年度の2.5倍程度となる。このため簿価ベース以前との経年変化の比較はできない。

図5では、総資産ならびに助成事業費合計の推移と、助成財団の主な財源のひとつである10年もの国債の金利の変化とを重ね合わせてみた。

経年データの取れる81団体の総資産は概ね毎年増加してきたが2000年度以降05年度までははほぼ横這いであったが、06年度以降は時価評価のための額の増減が見られる。助成事業費の合計額は、1994年度より減少を続けているが、2000年度以降は年によって増減がある。05年度以降は、ほぼ横ばいであるが、11年度以降やや増加傾向に転じている。今回の調査では、前回(16年度調査)に年間500万円以上の助成を行った財団で今年度の助成額が500万円以下に減少した財団が36(前回38)財団あった。助成事業費の減少は、ここ数年の日本の超低金利政策の影響によるものであり、現在でも助成財団の資金事情は極めて厳しい状況にあることに変わりはない。

助成財団は基金の運用収入で年間事業費をまかなっていると仮定すると、97年度以降では国債利回りの急落ほどには助成事業費合計が急下降していない。むしろ12年度以降は上昇傾向にある。実は、各財団とも助成金水準を少しでも維持するために、資産の運用方法を国債等安全第一の方法から柔軟に変更するようにしたり、出捐企業からフロー資金を導入したり、あるいは運用財産の一部を取り崩したりしながら事業費を補填する努力を続けてきており、それがわずかとはいえグラフにあらわれている。

図5 過去29年間データありの81財団推移b_zu5

3-4.総事業に占める助成の割合

助成財団はまた、助成事業のみを行っているだけでなく、財団独自の研究・調査などいわゆる自主事業を行っているものも多い。それを助成事業費と助成金以外も含めた事業費総額の割合からみたのが、図6である。ここでの対象は[対象B]932財団のうち、事業費について有効回答があった852財団である。

事業費総額と助成事業費が一致、すなわち100%助成事業のみおこなっている財団は4%で、ほとんどの財団が助成事業の他に何らかの自主事業も行っている。しかし、全体でみると事業費総額のうち助成事業費の割合が70~99%以上の財団が37%、50~99%以上になると55%を占めており、事業の中心はやはり助成事業といえる。

図6 助成事業費/事業費総額の財団数分布(852財団)b_zu6