新型コロナウィルスの感染拡大に対する理事長メッセージ2

続くコロナ危機/with コロナ下の助成財団について

2020年7月20日
公益財団法人 助成財団センター
理事長 山岡義典

 まずは、この度の令和2年7月豪雨の被害から2週間、まだ復旧作業が続いておりますが、被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
 皆さまに私からメッセージをお送りするのは、4月以来のこととなります。
 この間、4月初めから現在(7/10)までに世界の新型コロナウィルスの感染者は累計で100万人近くから1,400万人へと14倍も拡大しました。特にラテンアメリカ、インド、アフリカなどの新興国や途上国において感染が拡がり、その猛威は衰える兆しがありません。経済活動の再開に向けて舵を切ったアメリカでも、感染が再び燃え上がってしまったようです。
 国際社会全体を覆うこのような感染の空間的な広がりと、特効薬やワクチンの実用化に要する時間のことを考えますと、新型コロナウィルスが与える衝撃は今後さらに深甚なものになるでしょう。

 振り返って日本を見ますと、3か月間に累積感染者数は2000人近くから2.2万人へと世界より少しは低い12倍になりました。緊急事態宣言後の4月11日の743人/日をピークに感染者の発生数は減少に転じ、医療崩壊も危うく回避して5月25日には緊急事態宣言の解除に至りました。6月からは学校も始まり、人の移動も次第に増え、経済活動も再開されました。1日1万人だったPCR検査能力も、3万人を超える状況になったそうです。しかし7月に入ってから感染者数は再び増加に転じ、特に東京を中心とする首都圏や大阪・兵庫・名古屋では、感染拡大の動きが大きな不安を広げ、一時の油断も許させない状況に逆戻りした感もあり、新型コロナウィルスから逃げ切ったわけではありません。
 今後しばらくの間、私たちはマクロに見れば社会経済活動の再開と感染拡大の抑止、ミクロに見ればリアルな人的ネットワークとオンライン上のデジタルネットワーク、その中での仕事の場面ではオフィスでのデスクワークと在宅でのテレワーク、これらの関係を慎重に見極めながら、そのベスト・ミックスを実現しながら助成活動を行っていくことが望まれます。

 身近なテーマにも触れておきましょう。昨年の助成財団フォーラムでも議論しました「アウトリーチ」のあり方そのものが問われています。
 助成の相乗効果を高めるためには財団と社会のさまざまな対話が重要になります。多くの財団が取り組んでいる贈呈式や報告会なども、リアルな人的ネットワークを作るうえで大事な機会です。この3~5月は贈呈式の最盛期だったわけですが、このような場は感染クラスターを生む可能性も懸念され、ほとんどの財団が中止されたと伺っています。中には半年先に延ばして中間報告会と合わせて行いたいという話も聞きました。アウトリーチという視点からは相乗効果が期待されそうです。
 贈呈式をオンラインで行った話もうかがいました。ZoomやMeetといったビデオ通話アプリを介して、財団と助成対象者あるいは助成対象者間のデジタル空間上での情報交換を促す選択肢もあるわけです。公募説明会や選考委員会や報告会をオンラインで試行されているところもあります。当センターでは、研修をオンラインで工夫しながら始めています。私自身も、あちこちの選考委員会や中間報告会や研究会に、自宅で慣れない操作をしながら参加しています。

 このような新たなツールを活用することで、これまではコミュニケーションをとるのが難しかった遠隔地の皆さんを巻き込んだネットワークを作ることが実現し興味深いチャレンジとなっています。特にデジタルに慣れ親しんだ若い世代ほど、このような新たな試みに対する関心や適応力が高いでしょう。これから少し落ち着いてくれば、従来の対面型のアウトリーチと組み合わせながらハイブリッドな活用もできるでしょう。
 会員財団の皆さんも、様々な工夫によって新しい手法を開発してください。そしてその自慢の手法を財団同士で交換し合い共有する機会を持つことにより、ポスト・コロナにむけた素晴らしいレガシーとなることでしょう。

 もう一点申し上げるとすれば、この数か月の間に、感染拡大を抑えるために社会的活動、経済的活動を止めた副作用として苦境に陥った人や活動、そして新型コロナウィルス対策そのものに対する金銭的支援のため枠組みが整ってきています。民間助成財団界においても、複数の助成団体による共同助成プログラムの運営、クラウド・ファンディングを活用した資金提供、公的な機関とのコラボレーション、新たな助成枠組みの設置、各種の緊急基金への関与などの様々な新たな動きがあることが、センターのHP(コロナ感染拡大に対する緊急支援活動)から見られます。「なるほど」と思う発想の企画が、次々にできてきています。
 これから何か新しい試みをとお考えの会員財団の皆さまも、これらの動きも参照されながら、当センターにご相談いただき、地に足が付いた助成を検討し、実行していただければ幸いです。
 その結果として、民間助成財団の存在が「いざという時」に世の中の「一隅を照らす」ことになり、今後の助成活動の活性化や発展にも繋がることと信じています。