「公益法人のガバナンスの更なる強化等のために」に対する声明

 内閣府大臣官房公益法人行政担当室が9月から10月にかけて実施した「公益法人 のガバナンスの更なる強化等のために(中間とりまとめ)」に関する意見募集の結果が12月25日、公表されました。同日、併せて同「最終とりまとめ」についても公表されました。
 助成財団センターでは、この最終とりまとめの公表を受け、(公財)公益法人協会及び(公財)さわやか福祉財団の2団体と連名で声明を発表しました。

2020(令和2)年12月25日

「公益法人のガバナンスの更なる強化等のために(最終とりまとめ)」の発表に
ついて(声明)

公益財団法人公益法人協会
理事長 雨宮 孝子
公益財団法人さわやか福祉財団
理事長 清水 肇子
公益財団法人助成財団センター
理事長 山岡 義典

1.本年12月25日、公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議は、「公益法人のガバナンスの更なる強化等のために(最終とりまとめ)」を発表した。
  本有識者会議は、去る令和元年12月24日を第1回として令和2年11月30日の第10回会議まで、都合10回の会議を開催し、本最終とりまとめに至ったものである。
  その間に公益法人関係者等のヒアリング、本年9月から10月にかけて中間とりまとめについてのパブリックコメントが行われた。これらの意見を踏まえて議論がさらに重ねられる中で、「民による公益の増進」の促進を目的とするという、公益法人の活動の基本の視点が盛り込まれてきた点は評価したい。

2.しかしながら、そのとりまとめの内容については、令和元年6月21日の閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2019」(別添)を受けたこともあってか、「公益法人のガバナンスの更なる強化等についての検討」が中心であって、その検討の前提となる「新公益法人制度の発足から10年が経過したことを機とした、公益法人の活動の状況等を踏まえ」た問題点についての全般的な調査研究を欠いたことが惜しまれる。
  特に上記閣議決定においては、「EBPMをはじめとする行政改革の推進」をうたっているだけに、これを十分に取り入れていない本とりまとめは、表面的な個別の不祥事の例をベースにその対処方法等の議論が性急に行われており、至極残念に思われる。

3.そもそも新公益法人制度は、「民間の団体が自発的に行う公益を目的とする事業の実施が公益の増進のために重要」(認定法第1条)であることから発足したものであり、ここでは公益法人自らがその責任において公益目的事業を行い、その成果等を世間に公表し、その支援を得るという、自発的なものであった筈である。
  また自律的・自発的であることがガバナンスの強化にとって一番有効であるという理念に基いて設計されたものでもある。従ってこの理念がまずあって、それを阻害するものがあるとしたら、それへの対処方法がまず検討されるべきであって、結果としての不祥事やそれへの個別の対処方法から検討をはじめるのは、本末転倒であったと思われる。

4.さらに公益目的事業の全き執行に必要なガバナンスの強化のためには、法人の内部管理の人材の充実や外部の専門家の指導や協力等が必要であり、その結果その費用が必要となることも事実である。それに対応するためには、公益法人の収益増強や内部留保を中心とした財務の充実が必要であり、そのために大きな制約となっている現在の法令上の問題点の解決が早急に望まれる。
  本とりまとめでは、2.の(1)の①において、「一定以上の規模を有する法人であっても、常勤である職員や理事が少数であり、代表理事や事務局長など特定の者に業務執行が委ねられ、日常的な牽制機能が働きにくくなるような場合には、ガバナンスが損なわれることも考えられる。」と指摘しているが、これへの対処方法が何等示されていない。
  私たちは、このことも含意して、かねてより、いわゆる財務三基準の改正を要望している※。本とりまとめで認識しているこの問題を解決するためにも、この財務三基準の改正の要望の実現が最優先で望まれるところであり、これにより公益法人が人的ならびに財務的にガバナンスに傾注する余裕ができるような体質となれるよう関係各位に強くお願いしたい。

※「新公益法人制度施行10周年記念シンポジウム」(2018年)で3項目の提言からなる大会宣言を採択しているが、その中で下記を提言している。
1.財務三基準関係の是正と提言
 ① 収支相償の原則の撤廃、寄附金等の収入不算入
 ② 公益目的事業比率-収益事業等の費用計算の一部算入の容認-
 ③ 遊休財産額の保有制限-最低3年度分の事業費相当額の容認-
ちなみに、上記大会宣言においては、「3.情報公開の拡充と拡大について」を提言しているが、これは本とりまとめの「透明性の確保と推進」の中で同趣旨の提言がなされており、これについては全幅の賛意を表するものである。

5.おわりに
(1)今般の取りまとめは、新公益法人制度施行10年を経て、はじめての大規模な見直しであったことは事実であり、これを端緒として、本格的な制度全体の再検討を行うことを強く望むものである。

(2)特に今般の取りまとめは、上述のように下記の問題点を内包していることから、この内容を最終のものとしてではなく、問題提起として扱い、本格的な議論につなげるようにされたい。
 ① 検討の範囲が公益法人制度全般の問題に及んでおらず、検討のその順序も手順が前後していること。
 ② 個々の問題の検討において、必ずしも十分なエビデンスに基づいたものとなっていないこと。
 ③ 個別の論点の議論が十分尽くされておらず、検討が細部にわたって十分に詰め切ったものとなっていないこと。※
※特にア.言葉の定義が曖昧なものが散見されること、イ.改正が法律によるものか、ガイドラインに上るか不明であることなど一義的に明確でないこと等については、特に留意して明確にされたい。

(3)特に今般のコロナ禍において、次の問題が顕在化しており、早急な対策が必要と考えられること、ならびに公益法人制度全体の問題を内包するものであることから、関係者の早急な対応を切に望みたい。
 ① 事業執行型公益法人の収益悪化
  →収支相償原則や遊休財産規制の改正・改善により、長・短期的な対応ができるようにする。
 ② 財団法人における一般法人法の純資産規制による法人の強制解散制度
  →一般法人法の改正ないしは運用緩和、又は劣後ローンの取り入れ容認
 ③ 公益法人の煩雑な事務手続きや各種規制の存在による新たな公益法人の伸び悩み。

以上