理事長メッセージ

2023年 新年のご挨拶(動画&メッセージ)

動画(YOUTUBEチャンネルにて、新年のご挨拶動画を配信しております。)

メッセージ(JFC e-mail newsletter No.31にて発信いたしました。)

皆様あけましておめでとうございます。

助成財団センターが誕生した20世紀、昭和の時代には、助成財団というものはそれほど多くの国に存在しておらずに不思議な組織と思われていました。社会全体がお金を儲けることに熱心で、それ以外のことは現実世界では理解されていないようでした。したがって、企業や富裕層が助成財団を設立することに対しては「偽善」のレッテルが貼られ、皆様方の諸先輩はこのレッテルを貼られないようにするために苦心を重ねられたものです。ところが今や助成財団は世界のここかしこで誕生し、普遍的存在として語られるようになってきました。

地球規模の気象変動問題、コロナウィルス蔓延に伴う様々な社会問題、ロシアのウクライナ侵攻に起因するウクライナ人の難民問題。こうしたことは一国を超える問題です。また、他方で、人口減少に伴う後継者問題、子どもの貧困問題、性差別等の問題、孤立化の問題、育児や介護の問題、過疎化の問題等々。こうした問題は、時には「家族」というところまで入り込まなければならない複雑な人間関係の問題でもあります。

「政府は大きな問題を扱うには小さすぎ、小さな問題を扱うのは大きすぎる」とまで言われるようになってきました。言い換えれば、「公益ニーズ」が非常に多様化し、政府で扱うことの限界がどの国でも見えてきています。地球規模の課題に対して多国間の助成財団がスクラムを組むことも珍しくありません。時には生活の現場の中にある問題には地域レベルの公益団体が重要な役割を果たしています。したがって、ほとんどの国で民間公益活動の活性化が謳われ、税制上も優遇されて、社会から応援されているのです。日本の税制改革もこの観点から行われました。

ところが日本では、「税制上優遇されているのだから、あれをしてはいけないこれをしていけない」と昭和時代の指導、価値観などがまかり通ることが珍しくありません。本来ならば、税制上優遇されているのだからあれもしようこれもしようと、あるいはこういうやり方もある、ああいうやり方もあるという法人サイドが活性化することが望まれていたのかもしれません。法令にはない金太郎飴の手法の強要こそ民間助成財団の矜持と相いれないものではないでしょうか?

その点で、今回、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の下、「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」が設置され、法人活動の「活性化の観点」から議論が展開されていることは誠にありがたいことです。同会議の中間報告書が出されましたので、是非、「助成財団の活性化とは何か」という観点を見据えつつ、普遍的存在としての「助成財団の今後」を考えてみてはいかがでしょうか?

かつて「助成財団の仕事はあらゆる仕事の中で最も素晴らしい仕事である」ということを語ってくれた方がいらっしゃいました。公益法人の活性化とともに、皆様自身もいきいきと輝く年になることを祈念しております。