日本の助成財団の現状 -設立年次

設立年次

-2020年度調査結果(2021年6月更新)-

[対象A] 2,107団体の内訳は、公益財団法人1,490団体、公益社団法人103団体、一般財団法人380団体、一般社団法人60団体、社会福祉法人74団体(2020年11月現在)である。公益財団法人1,490団体のうち新法施行(2008年12月)により公益財団法人へ移行したものが1,365団体である。一方、施行後164 団体が一般財団法人として設立されたが、それらのうち公益財団法人へ移行したのは、125団体である。

[対象A]2,107財団の設立年毎の数(棒グラフ)とその累積数(折れ線グラフ)をグラフにしたのが図2である。このグラフから、1980年代中盤から90年代初めに多くの助成財団が設立されたことがわかる。数の上では、80年代以降に設立されたものが全体の半数以上を占めている。

しかし、1991年以降の年間の設立数は減少してきており、特に95年以降は大幅に減っている。これは1990年代初頭のバブル経済崩壊から、2008年9月のリーマンショックや2011年3月東日本大震災までの景気の低迷により、企業、個人共に新しい財団を設立する経済的余裕がなくなったことを端的に示していると思われる。その後は、長期間に及ぶ超低金利政策の影響により、仮に財団を設立しても助成事業を維持するだけの十分な資産運用益が期待できないことも、新規の財団設立を抑制する大きな要因となっている。

新制度下、財団法人そのものの設立は300万円の資産の拠出でできるなど容易になったが、長期間に及ぶ低金利が続いている現状では、設立が急激に増加するとは思われない。しかし、公益法人に対する税制優遇措置(特に寄付者に対する優遇措置)が拡充されたことを活かして、ほとんど基金を持たず、寄付によって助成金の原資や運営費を集めて一定地域内で事業を行う新しい地域密着型の助成団体が各地で生まれてきている。大阪コミュニティ財団の1991年設立がスタートとなり、地方のコミュニティ団体のネットワーク組織として「一般社団法人全国コミュニティ財団協会」が2014年6月17日に10財団がメンバーとなり設立されている。現在では約20団体が所属している。

最近では、コロナ禍にもかかわらず、企業として社会貢献やSDGsの観点から財団を設立していること、公益財団の制約を避け、一般財団を選択するケースが増えていること等が注目される。

図2 1970年から2019年までの年次別財団設立数推移