理事長メッセージ

2024年 新年のご挨拶

<能登半島地震で被災された方々ならびに羽田空港での事故で犠牲になられた方々へのお見舞い>

元旦に発生した能登半島地震でお亡くなりなった方々、それに引き続く羽田空港での衝突事故で亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。他の被災者や負傷者の皆さまに対しても心からのお見舞いを申し上げさせていただきます。そして能登半島地震に対する救助活動と、その後の復興が非営利組織を含む関係機関のご尽力により速やかに進展することも強く希望いたします。

<令和の公益法人改革制度改革の進捗と過剰な縛りの撤廃>

さて2023年を振り返りますと印象深いのは、2022年より始まりました令和の公益法人改革制度改革が大きく進捗したことです。2008年に施行された現行の公益法人制度の下でも、収支相償、遊休財産規制、事業内容の変更についての行政手続きの枠組みが民間助成財団、広くは公益法人全般を縛っていたのは皆さまもよくご存じのとおりです。第37回「助成財団フォーラム2023」の来賓ご挨拶においても内閣府公益認定等委員会事務局北川 修局長が明確に言及されました通り、これらの民間助成財団に対する不信に基づいた枠組みが、撤廃されていく方向にあるのは素晴らしいことです。

<社会課題を解決するのには欠かせない民間非営利セクターの関与>

更に高い評価に値するのが「社会的な課題を解決するうえでは、画一的な対応がデフォルトな行政と利益の分配を目的とする民間営利セクターのみでは限界がある。民間非営利セクターが『公』の一部として社会課題の解決と新たな社会的価値の創造に取り組むことが欠かせない」という前向きな認識が、令和の公益法人改革制度改革の根本にあることです。

<社会へのインパクトに向けて、自己変革が求められる民間助成財団>

他方、このように運営上の自由度が民間助成財団の手に入るということは、喫緊の社会課題に焦点を当てた助成活動に積極的に取り組むことが社会から期待されることです。今回の能登半島地震に限らず、近年頻繁に発生する大規模な自然災害の被災者に対する支援や被災地域の復興を促すような助成活動もその一つの例となる筈です。しかも、単に助成を実施するだけではとどまらず、課題解決を達成する、新たな社会的価値を創造する、来るべき次世代の社会の構築に貢献するといった、社会的インパクトを有する成果を生み出していく必要があります。このためには、民間助成財団も大きな自己変革を求められるはずです。

<助成財団センターがなすべきこと>

民間助成財団の自由度の増大とその反面である社会からの期待の高まりと自己変革の必要性、このような潮流の中で2024年に助成財団センターは何をなすべきなのでしょうか。第37回「助成財団フォーラム2023」の末尾の決意表明において、すでにセンター花崎専務理事がプレゼンテーションした通り、今後次のような新たな方針をセンターの活動に導入して参る所存です。

  • 助成財団セクターのメッセージや活動を社会に対して積極的に発信する。
  • 助成のインパクトを深めるうえで欠かせない存在であるプログラム・オフィサーを育成する。
  • 既存の助成プログラムの改編や新規プログラムの企画立案を支援する。

社会への発信、プログラム・オフィサーの育成、既存の助成プログラムのオーバーホール、いずれも、民間助成財団が令和の公益法人制度改革後の時期において「『公』の一部として社会課題の解決と新たな社会的価値の創造」を実践するためには欠かせない要素です。追って、これらの方針に基づいた新たな助成財団センターのイニシアティブが展開されることとなります。それに向けまして、皆さまの暖かなご支援を賜ることができれば幸いです。

   

公益財団法人助成財団センター
理事長 出口 正之