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NO.42 4年ぶりのリアル開催での、皆さまとの再会に心から感謝しています

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4年ぶりのリアル開催での、皆さまとの再会に心から感謝しています
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(2023/12/18(公財)助成財団センター発行)

【事務局冒頭メッセージ】   今年も残り僅かとなりました。
この一年を振り返ると、今年も様々な出来事がありましたが、これほど人権について意識を高められた年はなかったように感じます。人として情けなく感じる出来事が多かったことを残念に思います。
今月の10日は「人権デー(Human Rights Day)」でした。「人権デー」は、戦後、国連が創設されると、第2次世界大戦の経験から、国際社会はこのような残虐行為の再発を決して許さないことを誓い、1948年12月10日の国際連合第3回総会での世界人権宣言の採択を記念して、定められました。日本においても、人権デーを最終日とする1週間(12月4日から12月10日)を「人権週間」として、昭和24年(1949年)から毎年、全国的に人権啓発活動を特に強化して行っています。今年も「第75回人権週間」として、全国各地で400を超えるイベントが実施されました。
大変残念なことに、その最中にもイスラエル軍のガザ地区への攻撃は続き、民間人の犠牲が増え続けており、本当に心が痛みます。
日本人の人権への関心の低さは、国際的にも問題視されています。国際的なジェンダー・ギャップ指数の低さや難民への人権意識、特に一昨年の名古屋入管施設で亡くなられたスリランカ人女性ウィシュマさんへの対応などと共に際立つ結果となっています。
そのような中、今年、日本においては国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会が、12 日間にわたる訪日調査を行いました。東京、大阪、愛知、北海道、福島などにおいて、多くのステークホルダーから聞き取り調査を行い、2023年8月4日にステートメントをまとめています。
その結びでは「日本がビジネスと人権分野での官民イニシアチブで十分に取り組めていないシステミックな人権課題について、引き続き懸念を抱いています。女性や障がい者、先住民族、部落、技能実習生、移民労働者、LGBTQI+の人々など、リスクにさらされた集団に対する不平等と差別の構造を完全に解体することが緊急に必要です。ハラスメントを永続化させている問題の多い社会規範とジェンダー差別には、全面的に取り組むべきです。政府はあらゆる業界で、ビジネス関連の人権侵害の被害者に、透明な調査と実効的な救済を確保すべきです。」と厳しい指摘をしています。
しかしながら、日本ではこの声明がほとんど報じられることはありませんでした。本声明にある、メディアとエンターテインメント業界での性的なハラスメントや虐待の、一部分であったジャニーズ問題だけが大きく報じられたことには、驚くばかりです。
このような人権意識の低さは、頻繁にセクハラ問題が報道されていることでもあきらかです。「そんなつもりはなかった」「こんなことになるとは思わなかった」などのコメントは、相手を思いやり、尊重する人の言葉ではないと感じます。
皆が「相手の立場に立って考える」ことをしっかりと心に刻むことが大切であると、心から感じています。そして、人権問題に対する活動への助成事業がますます増えることを願っています。

国連ビジネスと人権の作業部会”ミッション最終ステートメント”はこちらからお読みください

INDEX

1.第37回「助成財団フォーラム2023」 を開催しました

2.第8回奨学財団交流会を開催いたしました 

3.セミナーご案内

4.センターからのお知らせ

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1.第37回「助成財団フォーラム2023」を開催しました
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◆3年ぶりのリアル開催◆
11月17日(金)午後、「今こそ民間助成を考える ~助成財団を取り巻く環境の大きな変化」というテーマの下、第37回「助成財団フォーラム2023」を開催いたしました。2020年初のコロナ禍の勃発以来、3年ぶりのリアルでの開催です。スピーカーの方々、オンライン参加の方々を含めまして、約200名のご参加をいただくことができました。その概要は、次の通りです。
 
◆ご挨拶◆
(公財)助成財団センター理事・事務局長両角 明子の総合司会の下、フォーラムが開会となり、冒頭で理事長出口 正之が、ウクライナ・ガザにおける相次ぐ戦役、更に気候変動が進展するという社会の変革期において、政府でもなく、企業でもない、民間非営利組織、助成財団による課題解決への期待が高まっている。本年10月にナイロビにおいて開催された国際的フィランソロピー組織WINGSの世界大のフォーラムにおいても、テーマは「変革」であった旨の開会のご挨拶をさせていただきました。
また、昨年度に引き続き来賓ご挨拶を賜った、内閣府公益認定等委員会事務局 局長北川 修様からは民間公益活動の柔軟・迅速な事業展開を促すために、収支相償、遊休財産規制の抜本的な見直しが進行中であり、また事業の枠組みの変更も、単なる届け出制へと変更される方向性である旨のお言葉をいただきました。
これまで、公益法人改革以降においても民間助成財団を縛っていた規制が外され、創造的な助成活動につながることが期待されます。
 
◆「経験値」の重要性と新たな社会形成に向けての助成プログラム◆
これを受けて、第一部へと移り、法政大学名誉教授・(公財)助成財団センター会長山岡 義典が「民間助成を豊かにするための知と力と技」という題目で、第1の講演を行いました。山岡会長は、民間助成財団は、申請書や報告書で用いられる論理や数値、ロジックモデルを基にした一見明晰な「形式知」のみに依存するのでは、市民社会の豊かな財源たりえない、と述べます。申請者や助成対象者の方々が活動する現場で生まれてくる熱い想いや物語といった「経験値」に近づき、読み取る能力が不可欠であると提唱します。
次に(特非)協力アカデミー代表松原 明さんが「助成財団セクターの置かれている状況と価値向上に必要な方向性」と題するプレゼンテーションを行いました。近年のクラウド・ファンディングの普及、休眠預金の出現、企業直轄のCSR活動の活性化に伴い非営利セクターの財源は多様化しており、申請者の側がいくつもの選択肢の中から自らにふさわしい財源を能動的に選ぶ時代に移行した。その結果、民間助成財団が良質のプロジェクトに対して助成を行うのが難しくなる、と松原さんは述べます。
この変化に鑑み、現在民間助成財団がなすべきなのは助成成果とそのインパクトによる社会課題の解決という時代遅れになりつつあるモデルを離れ、共助社会、あるいは包摂社会と呼ばれる新たな社会の形成に資するような助成プログラムとその効果的な運営手法の開発に注力することだ、と松原さんは指摘されました。
◆自己変革へ向けての取組み◆
休憩ののち、第二部のオープニングとなり、コーディネーターとして(公財)笹川平和財団常務理事茶野 順子さんが登壇いたします。ここで茶野さんは、民間助成財団には「自己変革」を遂げていく能力があると説かれております。
続いて事例報告に移り、(公財)ヤマト福祉財団常務理事井上 貴博さん(題目「社員が支える財団運営 ~小倉昌男が託したもの」)、(公財)武田科学振興財団常務理事酒井 清彦さん(題目「社会が必要とする研究、研究者のサポートへの新たな取組み~ハイリスク新興感染症研究助成、ビジョナリーリサーチ助成、中学校・高等学校理科教育振興助成」)、(公財)電通育英会専務理事有井 和久さん(題目「人材育成に向けた奨学事業と助成事業の継続・拡大~『つながり、学び合う』をテーマとした活動」)、(認定特活)キッズドア理事長渡辺 由美子さん(題目「応募者の経験を活かした助成事業~子どもの貧困に特化した助成事業」)によるプレゼンテーションをいただきました。
それぞれのプレゼンテーションによって、会社と労組に支えられている助成活動、社会が必要とする研究、研究者のサポート、社会を牽引する次世代人材育成、子育て家庭の「困った」を解決するための支援といった、民間助成財団の「自己変革」へ向けての取組みの諸相が窺えました。
 
◆質疑応答から助成財団センターの決意表明へ◆
第三部では、立教大学大学院 21 世紀社会デザイン研究科客員教授兼センター理事渡辺 元のモデレーションによる質疑応答と意見交換が行われました。助成財団を取り巻く環境の大きな変化をどのようにとらえるのか、それに対応するための自己変革の契機はどこにあるのかなどについての、多くの情報がやり取りされました。
フォーラムの締めくくりとしてセンター専務理事花崎 和彦による決意表明がなされました。「それぞれの民間助成金に託された“助成財団の想い”を受け止め、助成希望者と助成団体を相互につなぎ、よりよい社会の実現に貢献」という助成財団センターの新たなミッションを踏まえ、以下のような新たな方針を導入するというものです。
・助成財団のメッセージや活動を社会に届けたい
・助成事業とその活動をより良く
・助成事業をし易く
 
この助成財団センターの次のステージをイメージさせる決意表明を以って、第37回「助成財団フォーラム2023」は幕を閉じました。
この後、花崎専務理事が述べました3つの方針に基づいた新たなイニシアティブが展開されることとなります。これに向けて、皆さまのご支援を賜ることができれば幸いです。
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2.第8回奨学財団交流会を開催いたしました 
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第8回奨学財団交流会は講師として、高等教育学、教育社会学のエキスパートでいらっしゃる桜美林大学教育探究科学群長・教授小林 雅之先生を、お招きいたしまして12月4日(月)午後に開催されました。リアルとオンラインの双方を合わせて、約40名のご参加を賜っております。 
小林教授のプレゼンのテーマは、「高等教育の修学支援制度 現状と課題 ~社会環境(教育修学制度)の変化を捉え、必要とされる効果的な民間奨学助成事業の在り方を考える~」というものです。
プレゼンにおいて、世論における教育費の親負担主義の強さ、貸与奨学金の拡大だけでは学生支援としては不十分、修学支援新制度の認知度、大学院段階の学生支援のあり方などの現行の就学制度をめぐる様々な論点についてお話をいただきました。
聴衆の皆様のご関心を最も集めたのは、「民間団体の奨学事業の役割と期待」というポイントでした。ここで小林教授は、民間奨学財団は日本学生支援機構奨学金と 同じことをしても社会的意義に乏しいと明確にご指摘されます。その上で、民間奨学財団が取り組むべきなのは、独自のポリシーを持つことであると提唱されました。具体的には、特定の地域の学生や、海外からの留学生などに焦点を絞る、奨学生の選考基準を日本学生支援機構奨学金のものとは明確に差異化する、受給金額を変えるなどを検討する必要があるというお考えを述べられました。
質疑応答の際にも、上記のポイントには、ピンポイントで参加奨学財団の方から質問が寄せられたことからも、その重要さがうかがえます。
休憩をはさみ、第二部「参加財団からの財団紹介・情報提供」に移り、ご参加いただいた各財団の 奨学事業や新規の取組みをプレゼンテーションしていただきました。また、更に第三部では、奨学財団交流会幹事財団である(公財)電通育英会専務理事有井 和久さん、(公財)日本教育公務員弘済会事業課課長深見 和孝さん、(公財)吉田育英会事務局長林 利浩さんにファシリテーターをお勤めいただき、グループ・セッションを実施いたしました。
次回奨学財団交流会に向けましても、助成財団センターは幹事財団他の関係者の皆さまと意見交換を重ねて企画立案を進める所存です。ご期待をいただければ幸いです。
末尾となりますが、(公財)電通育英会専務理事有井 和久さん、(公財)日本教育公務員弘済会事業課課長深見 和孝さん、(公財)吉田育英会事務局長林 利浩さんにはご尽力を賜りましたこと、深くお礼申し上げます。

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3.セミナーご案内
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(1)第13回助成財団 深掘りセミナー「クローズアップ-日本生命財団-」(Zoom開催)
1つの財団にフォーカスし、活動を深く掘り下げ、設立当時の思いや、現在までの歩み、工夫されている日々のお話が聞けるセミナーです。
ご参加者の皆さまが、これからの助成財団等の組織及び助成事業のあり方を考え、実践していくための一助となることを目的とするものです。

◆対象者◆
これからの助成財団の組織、助成事業のあり方を考え、さらに実践に移したいという意向をお持ちの助成財団関係者の方々を対象といたします。
◆日時◆
2024年1月26日(金) 14:00~17:00 
◆講師◆
(公財)日本生命財団 代表理事・常務理事・事務局長 水野 充彦さん
◆題目◆
「助成型財団としての44年の歩みと今後の展望」-多目的助成財団の組織と事業-
◆詳細◆

◆WEB申込◆
https://pro.form-mailer.jp/fms/b044f66e256918 

(2)助成実務セミナー(1月) (Zoom開催)
 ◆あらまし◆
主として助成事業の経験が浅い運営責任者ならびに実務担当者を対象として、助成事業に関する基本的な知識とノウハウを目的に助成財団センター理事 渡辺元が分かり易く講義をいたします。(1回ごとのご参加も可能です)
◆対象者◆
助成事業の立ち上げ責任者、運営責任者、担当者、財団のプログラム・オフィサーならびに伴走支援者、NPOの経営者ならびにマネジャーや現場スタッフ、中間支援の方など
◆日時◆
1月10日(水) 14:00~16:30 
テーマ1:「民間助成財団および助成業務について」
1月17日(水) 14:00~16:00 
テーマ2:「助成事業を運営するために-助成事業とは何か、その運営留意」
1月24日(水) 14:00~16:00
テーマ3:「助成事業のフォローアップ-意義、実施方法、情報の活用-」
1月31日(水) 14:00~16:00
テーマ4:「助成事業をどのように組み立てるか」
◆詳細(含む受講費)◆

◆WEB申込◆
https://pro.form-mailer.jp/fms/e1e81902257632

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4.センターからのお知らせ
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(1)「FRJ2024|ファンドレイジング・日本~新たにつながろう、共創の未来へ。」のご案内

国内唯一のファンドレイジングの年次カンファレンス、FRJ2024が、今年度はリアルとオンラインが融合する、新たなかたちとして、2024年2月21日(水)から3月31日(金)に開催されます。

期間中は何度でも学べるオンデマンドセッションの視聴をはじめ、3月9日(土)は4年ぶりの特別対面イベントがTOC有明コンベンションホールにて開催されます。

当センターも後援しています、皆さま是非、奮ってご参加ください!

◆FRJ2024 概要◆
「FRJ2024は寄付やファンドレイジング、インパクト投資の最新動向や成功事例が学べる日本最大のファンドレイジングカンファレンスです。NPO/NGOをはじめ、企業、大学、行政、財団などで社会課題解決に取り組むプレイヤーが、日本全国から1000人規模で集います。
◆FRJ2024 1日限りの特別対面イベント◆
日時:2024年3月9日(土) 9時30分~20時00分(交流会あり)
会場:TOC有明 コンベンションホール
◆FRJ2024オンデマンド ◆
動画セッション20本以上がご視聴可能
視聴期間:2024年2月21日(水)〜3月31日(日)
◆イベントハイライト◆
・社会課題に取り組むプレイヤーがセクターを超えて1000人規模で集結!
・対面とオンデマンドのかけ合わせで、「深い学び」も「つながり」も
・FRJでしか聴けない!豪華講師陣がファンドレイジングの今を語る
◆特設サイト◆
https://jfra.jp/frj/
(1月23日(火)までお得な早割価格)
◆ハッシュタグ
#FRJ2024 #FRJでつながろう
◆主催・お問合せ◆
認定NPO法人日本ファンドレイジング協会 FRJ2024事務局
https://jfra.jp/contact

(2)公益法人協会シンポジウム2023「新たな公益法人制度を目指して」

- 2008年12月に公益法人制度が改正され15年、公益法人のよりよい制度環境、活動環境の実現を目指した検討が始まりました。 前半では、現在進行中の制度整備の方向性、制度改正の内容と背景にある理念等について確認し、後半に、前半の内容を踏まえ課題の整理とその対応策の検討などを行い、その結果を社会に向けて発信します。 -   (公財)公益法人協会が上記表題のシンポジウムを開催いたします。   
日 時: 12月26日(火) 13:00~17:00      
※ オンライン配信も予定。
会 場: 都市センターホテル・コスモスホール(東京都千代田)  
ご関心をお持ちの方は、下記をご覧ください。
https://kohokyo.or.jp/topics/kohokyo-20231011/

(3) 助成財団センター ガイド2022を発刊いたしました。

(4)「助成財団センター・レポート 日本の助成財団の状況(2022)」が刊行されております。

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★ ご寄付のお願い https://www.jfc.or.jp/donation/
助成財団センターでは当センターの事業活動にご理解とご賛同をいただき、是非ご寄付をお寄せくださいますよう心よりお願い申し上げます。

★ 会員募集中 https://www.jfc.or.jp/recruitment/
当センターの中間支援組織としての果たすべき役割、責任は極めて大きいものと自覚しておりますが、皆さまのご参加とご協力があってこそのものです。
多くの皆さまに会員として当センターを支えていただきたく心よりお願い申し上げます。
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JFC e-mail newsletter No.42
編集・発行 公益財団法人 助成財団センター
発信日 2023年12月18日
編集・発行人 花崎 和彦

公益財団法人 助成財団センター
〒160-0022 新宿区新宿1-26-9 ビリーヴ新宿4F
TEL:03-3350-1857 FAX:03-3350-1858
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